月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
グサッと何が胸に刺さる。

そりゃあそうだけどさ。

そりゃあそうだけどさ!


「とは言っても、落ちてしまうのが、恋と言うモノなのだろう?」

ゆっくりと後ろを振り向く。

そこには、ハーキムさんのニヤニヤした笑顔があった。

「そうです。分かっているじゃないですか。」

「お前を見ていればな。何せ自分の身分をわきまえず、一国の王子に恋をしているんだからな。」

「悪かったですね!身分違いで‼」

そこまで言うか!


「反対にハーキムさんは、同じ身分でよかったですね!」

嫌みたっぷりに言ったはずなのに。

「ああ、そうだな。」

と、ハーキムさんは照れ笑い。

あ〜あ、幸せそうに。


「ところで、恋人さん。何て名前なんですか。」

「名前?ラナーだ。」

「それって、ハーキムさんみたいに、意味があるんでしか?」

「さあ……」

「そんな勿体ぶんなくても〜」

「さあ、お喋りはここまでだ。」

「えっ?」

ハーキムさんの指差す方に、オワシスが見えてきた。
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