月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
まるで砂漠とは違う世界。

ここだけは、全く別な場所だと思えた。


「何て綺麗なところ……」

ジャラールさんとハーキムさんは、木々がたくさんある場所にラクダを停めた。

「この場所のどこかに、ネシャートさんを救う宝石があるのね。」

「ああ。」

ジャラールさんは、ラクダから離れると、真っ直ぐ湖を見つめた。


大きく深呼吸をした後、ジャラールさんは持っている刀を全て外した。

それを黙ってハーキムさんへ渡す。

「ハーキム、行ってくる。」

「ご無事にお戻りください。」

「ああ。」

そして、ジャラールさんは上半身を覆う服を脱ぐ。


現れた筋肉質の体に、思わず両手で顔を隠した。

反則だ。

細い体に、そんな筋肉があるなんて。


「はははっ!」

ジャラールさんの笑い声が聞こえる。

「新鮮な反応だ。さてはクレハ。まだ男の体を見た事がないのか?」

「えっ……」

顔から火が出そうになるのが分かる。
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