月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
そしてその中に、キラキラと光るものが見えた。

「クレハ?」

ハッとして、ハーキムさんの元へ戻った。

「なんか吸い込まれそう。」

「吸い込まれる?」

ハーキムさんも、湖の中を覗きに行った。

だけど黙って、すぐ帰って来てしまった。


「ハーキムさん?」

「なあ、クレハ……」

そっと振り向く私に、ハーキムさんは不審な顔。

何?私、何かした?

「……いや、何でもない。」


そう言ったハーキムさんは、大きな木の下の根本にジャラールさんから預かった刀を置き、駱駝達をその幹に繋ぎ始めた。

「それはそうと、お前がそんなに純粋だったとはな。」

「はい?」

「男の裸を見て、顔を赤くするなんて、可愛らしいところもあったもんだ。」

その台詞に、ガクッとくる。

私、まだ高校生なんですけど‼


「じゃあラナーさんやネシャートさんは、男の裸を見てもじっと見ているんですか?」
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