月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「そうだな。ラナーは最初、見て見ぬ振りをしていた。」

「ほら。」

「だがすぐ慣れた。程よい筋肉を持つ男を恋人に持つのは、女の誉れだからな。」

「ええっ?」

「その為に、男の裸を見てから、恋人にするかどうか決める女もいる。」

なんちゅう国だ。

そんな事で恋人を決めるなんて。


「ははは。それには訳がある。年に一度、武術の大会があるのだ。良い成績を修めれば、王国お抱えの兵隊になれる。兵隊に選ばれている間は、有り余る金品を貰える。男も女も必死になるはずだ。」


みんなの国をどうのこうの言うのは、どうかと思うけれど、戦いが全てみたいな国には、ちょっと付いていけない。

「どうした?」

「ううん。ジャラールさんやハーキムさんも、その兵隊に選ばれているの?」

「いや。ジャラール様は、王位を継げないとは言っても、この国の王子。兵隊を率いる方だ。俺も王子付きとして、何かあれば兵隊を率いる。」
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