月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ハーキムさんは、ジーっと私を見ている。

「ハーキムさん?」

「いや、そんな考え方をする者がいたとは。全く予想もしていなかった。」

「そうなの?」

「ネシャート様は、幼い頃よりそう育てられたのだ。その大変な事が、当たり前の事だと思っているだろう。それに……」

「それに?」

「ネシャート様には、ジャラール様がいる。二人ならば、どんな困難も乗り越えられる。」


私の胸の中でまた、何かがチクッと刺さった。

二人ならば。

そこまで二人の絆は、強いモノなの?


それほどまでに、二人は愛し合っているの?


「何で?だってジャラールさん、ネシャートさんとは結ばれないって言ってたよ。結ばれないんだったら、いつかお互いの他に、大事な人ができるじゃん。」

「そう……だな。」
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