月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「誰もがジャラール様を通じて、同盟国との結束が強くなると思った。家臣の中には同盟国が、この国のモノになるのも近いと言う者もいた。女遊びも返って、そのくらいの方が頼もしいとも。」

ハーキムさんは、ジャラールさんの事を、とても凄い人のように語るけれど……

なんでだろう。

話を聞けば聞く程、ジャラールさんが、寂しい人に思えてきてならない。


「その後時は流れ、ジャラール様の成人の儀の時だ。ネシャート様との事を、王妃様より密かに聞いていた現王は、残酷な選択をさせた。一つは王子のまま、同盟国へ行き、その国の姫……つまりネシャート様以外の人と結婚する事。」

「……それと?」

「もう一つは……」

ハーキムさんの手に、力が入る。


「ハーキムさん?」

「もう一つは、ネシャート様の臣下に下り、民の一人としてこの国の発展に尽くす事。」

「えっ‼それって、どういう事?もしかしたら、ネシャートさんと結婚できるかもしれないって事?」
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