月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「俺もそう思っていた。いや、俺だけではなく、ネシャート様もラナーも。現王も王妃様とてそうだ。だか、ジャラール様だけは違っていた。」

「まさか……」

「そうだ。ジャラール様は、臣下に下り一生ネシャート様の側で仕えると王に誓ったのだ。」


目から涙が溢れた。

どんなに辛い事があっても、ネシャートさんの側にいる。

なんて強い想いなのだろう。


「そう……だね。それじゃあ何があっても、二人は乗り越えていけるね。」


なんか負けちゃった。

羨ましいくらいの二人の絆に。

あ〜あ、バカらしい。

そんな恋人一途な人を好きになるなんてさ。


「クレハは、ジャラール様の事になると、すぐ泣く。」

「別に。感動しただけです!」

ゴシゴシと目を擦ると、ザバッと言う音がした。


「ジャラール様!」

湖から上がったジャラールさんを、ハーキムさんは急いで迎い入れた。

「ご無事で何よりです。」
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