月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
二人は盛り上がっているけれど、私は何とも言えない。

眠るなって言うけれど、このとてつもなく眠い中で、眠らないでいるなんて有り得ない程難しい。


そんな中、神崎部長が部屋に乱入。

「まだ着替えてないの?早くしないと、置いて行くわよ?」

いっそ置いて行ってほしいと思うけど、いかんいかん。

ここは旅館なのだ。

「すみません。急いで準備します。」

現れた光清の無駄な色気に、神崎部長もメロメロ。

「いいのよ。バスの中で待ってるからね。」

メロメロになりながら、神崎部長は行ってしまった。


「じゃあ二人共、準備ができたらバスで落ち合おう。」

「おう!」

ときわが右手を高く上げる。

「紅葉は?」

光清とときわが私をそっと見つめる。

「お、おう?」

私は小さく右手を上げた。


それを合図に、それぞれ行動を始める。

さしずめ、私とときわは着替えからだ。


「ごめんね、ときわ。面倒臭い事に巻き込んで。」
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