月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「もういいよ、光清。」

私は、持っている本を光清に返した。

「光清の言うとおり、私はこの世界に行かない方がいいのかもね。よし!とりあえず旅行が終わるまで、私、寝ないように頑張る。」

振り切ったかのように見せかけて、次の目的地の準備をした。


着いた場所は金閣寺。

さすが京都観光。

これぞザ・京都って言う場所を回る。


「はい、紅葉。」

光清が缶コーヒーをくれた。

「えっ!どこで買ったの?」

「あそこ。」

指差したのは、近くにある自販機。


「眠気覚まし。」

そう言って、ぐびぐびっと飲み始める。

自由過ぎるよ、光清。

だけど眠気には勝てない。

私も一緒に、缶コーヒーを飲み始めた。

「あっ、美味しい。」

「だろう?俺、ここの缶コーヒー、好きなんだよ。」

光清が屈託のない笑顔を見せてくれる。


この笑顔に、どれくらいの人が、心を奪われてるんでしょうね。
< 142 / 300 >

この作品をシェア

pagetop