月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
下に降りる階段を、タタタッと駆けて行く。

やけに慣れている。

「待って……ラナー。」

途中で息が切れて、立ち止まる。

「大丈夫ですか?」

振り返った彼女は、全く呼吸が乱れていない。


「あとどのくらい?」

「まだ半分です。」

私は元来た道を振り返った。

遥か上の方に、入口が見える。

まるで地獄まで、続いているような階段だ。


「いつもここを通っているの?」

ラナーは、ピクリとも動かない。

「知ってるよ。ハーキムさんの恋人だって。」

息を切らした私を、じっと見つめるラナー。

「……あなたは一体何物なんですか?」

「えっ?」

「ここでハーキム様の内情を知る者は、ごくわずかです。ハーキム様のお相手が私だと知る者は私達二人を除いては王女のみです。」


おっとハーキムさん。

そんな機密事項を私にあっさり教えたのか。


「ハーキムさんが教えてくれたんだよね。一緒に旅している間に、いろいろ話てくれてさ。」
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