月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「ハーキムさん……」

なんかその優しさに、涙が出てくる。

すると鉄格子の中から、ハーキムさんが手を伸ばして、涙を拭ってくれた。

「泣き虫だな、クレハは。」

「泣いてなんか、いない、もん……」


その手の温かさに、また涙が流れた。

「そうか?旅の間は、ずっとジャラール様を想って泣いていた。」

そう言えばそうだった。

ジャラールさんの気持ちが、ネシャートさんだけにむいていて、それを思い知らされる度に泣いていた。


「……ハーキムさんの為に泣いてはダメなの?」

「俺の為に?」

「だって……私の代わりにここにいるんだよ?辛くない?寒くない?ちゃんとご飯食べてる?」

するとハーキムさんが、私のおでこに口付けた。


「へっ?」

ビックリして、腰が抜けた。

「気にするな。いつかクレハを守ると言っただろ。俺はその言葉に従っただけだ。」

「ハーキムさん……」
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