月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
あっ、私倒れてもいいかな。

そりゃあ私、美人じゃないけど、全く相手にされないって悲しくない?

「そうと決まったら実行あるのみだ。」

「えっ?」

いや、やるって言ってないし。


「ラナー。」

ハーキムさんがラナーを呼ぶと、彼女はスーッと近づいてきた。

「はい、ハーキム様。」

「頼みがある。この者を、ジャラール様の寝室へ送り届けてほしいのだ

「畏まりました。」

何の迷いもなく返事をしたラナー。

「頼んだぞ、クレハ。」

「あっ、はい。」

返事をすると、ラナーは私の腕を付かんで、元来た道に向かった。


「ハーキムさん!」

「また会える!」

鉄格子越しに言われた言葉。

小さく頷いて、ドアの向こうに走った。


それからはもっと大変。

あの階段を死ぬような思いで、駆け上がらないといけないのだから。

運動不足が祟っているのか、息は切れるは足は上がらないは、とにかく止まってばかり。
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