月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「分かった。その代わり、この服ちゃんと返してよ。」

「勿論です。」

するとラナーは、私の手を取って、廊下の奥にある部屋の中に入った。


きらびやかな宮殿にしては、少し地味な部屋。

ベッドと机。

そして小さな衣装棚だけのシンプルなモノ。


「ここは?」

「……私の部屋です。」

「ラナーの?」

驚いた。

王女付きの侍女だと言うから、もっと豪華な部屋に住んでいると思ったのに。


そしてラナーは、自分の衣装棚から、1着キラキラした服を出した。

「私が持っている衣装の中で、一番の服です。」

「えっ!?そんな大事な服、貸してくれるの?」

今までのイメージでは、そんな事絶対しなさそうなのに。


「ジャラール様に伝えなければいけない事が、あるんですよね?」

「う、うん。」

「ネシャート様の病も、救って下さるんですよね?」

ラナーの瞳には、必死に訴えるモノがあった。
< 166 / 300 >

この作品をシェア

pagetop