月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「さあ、出来ました。他の方に先を越される前に行きましょう。」

「えっ?」

薄いベールを肩に羽織らせ、ラナーはまた私の腕を掴んで、どこかへ走って行く。


「他の人って?」

するとラナーは、ぴたっと止まった。

「ラナー?」

呼び掛けた彼女は、疑いの目で私を見る。

「まさかご自分お一人だけだと思っていたのですか?」

「えっ?」

「お相手は、この国一番の美少年と謳われた人ですよ?例え結婚できないと知っていても、その寵愛を受けたいと思う女達は、山ほどいらっしゃいます。」

ラナーの言葉に、まずいところへ来てしまったと感じる。

「私、選ばれるのかな。」

「さあ?私はどのような基準で、女達を選んでいるのか、分かりませんから。」

ラナーは冷たいのか優しいのか、その方が分からない。


「さあ、行きましょう。」

再び走り出したずっと先には、同じ様な衣装を着た女性がたくさんいた。
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