月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「畏まりました。」

白い服を着た人が、扉の外に出ていった。

「すまないが、用意するまで少し時間がかかる。」

「あっ、いえ。気を使わないで下さい。」

大きなソファーに、ジャラールさんと二人きり。

周りを見ると、さっきまで数人いたお付きの人達は、いなくなっていた。


「お付きの人、いないんですね。」

こんな、豪華な部屋を見てしまったせいか、急に敬語。

「ああ、ここはプライベートな空間だからな。こちらから呼ばない限り、お付きの者は入って来ない。」

「へえ。誰も来ないんですか?」

「そうだ。誰も来ない。ああ、ハーキムはたまに来るか。」


嬉しそうに語っちゃって。

今ハーキムさんは、あの寒い牢屋にいると言うのに。


「クレハだけだ。この部屋に通したのは。」

前屈みになりながら、私を見つめてくれるジャラールさん。

「嘘です。だって、セクシーなお姉さんを連れて来てるって。」
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