月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「ち、違います!日本では男の人って、あまり果物切らないから!」

「へえ〜」

しかもジャラールさん。

私と話をしながら、次から次へと皮を剥いていく。

少なくても私より器用だよ。


「はい、クレハ。」

切ったオレンジを、ジャラールさんは私にくれた。

「有難うございます。」

手に取ろうとしたら、ジャラールさんが手を引っ込める。


何のイジワル?


そう思ったら、ジャラールさんに"口、あ〜んして"と言われた。

「えっ?ちょっと?」

「ほら、早く。」

恥ずかしさをこらえて、口を開けると、ジャラールさんがオレンジを食べさせてくれた。

「うっ、甘い‼」

こんな瑞々しくて、甘いオレンジ。

初めて食べた。

すると今度は、私にオレンジを食べさせてくれたその指を、ペロッとジャラールさんが舐める。

「本当だ。美味しい。」


あまりにも慣れた手つきでそんな事されるから、もう付いていけない。
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