月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「クレハの世界?では……俺達が本になっている?」

「うん。」

「今、俺達の言葉で書かれているって言ってたけれど、それならばなぜ、俺達だと分かるんだ?」

私は、ゴクンと息を飲んだ。


「イラスト……」

「イラスト?」

「ところどころ書いてある挿し絵が、ジャラールさんとハーキムさんだったの。」

「……それだけで?」

私は、大きく頷いた。


「初めて会った時、すぐに分かった。挿し絵の人、そのままだったから。」

ここまで話すと、ジャラールさんは一度、扉を閉めた。

たぶん他の人に話を聞かれたくないのと、一度頭の中を整理したくてだろう。


「……どんな話だった?」

その質問には、直ぐに答えを言えなかった。

「クレハ?」

ジャラールさんの吸い込まれそうな瞳が、私を切なくさせる。


だって、今の自分の人生の一部が、本に書かれている筋書き通りだと言われたら?

誰だって、頭がおかしくなる。
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