月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
しばらくしてラナーは、その牛乳の入ったカップを、誰にも見られないようにトレーに乗せる。

そしてまたキョロキョロ。

キッチンのドアを開けても、キョロキョロ。

怪しい。

素人の私から見ても、かなり怪しい。


そう思った私は、キッチンから姿を消したラナーの後をついて行く。

見失わないように、と思ったら今度はゆっくりと廊下を歩いて行く。

さっきの、そそくさと逃げるような動きとは、全く違った。


ラナーの向かった先は、ジャラールさんと同じくらい、いやもっと大きな扉の前だった。

護衛はラナーの顔を見ただけで、扉を開けた。

「どこなんだろう……」


ただラナーの部屋の鍵を貸してほしいだけで、こんなところへ来てしまって。

仕方がない。

今日は諦めるかと、後ろを振り向いた瞬間。


「………っ!!」

長い指で口を覆われ、カーテンの後ろへ、連れて行かれる。

「静かに。」
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