月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
聞いた事のある声に、少しだけ振り向く。

「ジャラ……」

名前を呼ぼうとして、また口を塞がれた。

「どうして……寝てたはずじゃ……」

「クレハ。それ以上言うと、今度は唇でその口を塞ぐぞ。」


ジャラールさんにキスされたんじゃ、敵わない。

大人しく黙っている事にした。


扉の前にいるラナーは、護衛の人にあっさり通され、あの大きな扉へ入って行く。

「クレハはここで待っていろ。」

「あっ、ジャラールさん!!」

振り向いたその姿は、マンガに出てきそうな程のカッコよさ。

思わずよろめく。


「クレハ?」

「あっ、いやいや。私も一緒に行っていい?」

「ダメだ。」

ジャラールさんは、即答すると背中を向けた。

「おっと!」

必死にジャラールさんの腕を掴む。

「私、ラナーに部屋の鍵借りに来たんだよね。」


へへへと笑って見せたけど、ジャラールさんの表情は変わらない。
< 212 / 300 >

この作品をシェア

pagetop