月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「……なぜ鍵を借りる必要があるのだ。」

「これ、ラナーに借りた服なんだよね。自分の服はラナーが持っているから……」

「だとしたら、しばらくその服でいろ。」

そう言ってジャラールさんは、扉へ行こうとした。


「おっと!」

「今度はなんだ!」

「欲しいのは服じゃなくて、携帯なの!」

「携帯?」

「携帯電話。それが必要なの!」

この国にはまだ携帯がないのか、ジャラールさんは"なんだ、それは?"と言う顔。

まずい。

通話やメールは出来ないって諦めてたけど、もしかしたらゲームもできなかったりして。


「分かった。中に連れて行ってやる。」

「やった!」

「その代わり……」

「はい?」

ジャラールさんは、どこか一点を見つめながら、考えている。

「いや、いい。その時はその時だ。」

今度は私が頭の上にクエスチョンマーク。


「来い。」

ジャラールさんはそう言うと、私を連れて、大きな扉の前に立った。
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