月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「ここからは声を出さないように。」

私は大きく頷いた。

目の前の扉を、音を立てないように開け、更に奥の部屋へ向かう。

そしてジャラールさんは、奥の部屋の扉を、少しだけ開けた。


そこから漏れた光に、ジャラールさんの顔が照らされる。

その表情は、見たこともない程に厳しい。

こんな顔見せられたら、"声を出すな"って言われなくても、出せないでしょう


しかしなんで、そんな難しい顔してるかな。

滅多にお目にかかれない王子様の真剣顔に、ラッキーと思いながら見惚れていた。

う~ん。

やっぱりカッコいい。


すると急に扉を開けて、ジャラールさんはスッと入って行ってしまった。

「ジャ……」

あっ!と思って、口を押さえる。

声を出すなって言われてたんだっけ。


「そこまでだ。」

中からジャラールさんの声が聞こえた。

そっと覗きこむと、ジャラールさんが誰かの腕を掴んでいる。

誰?

私はもう少しだけ、扉を開けた。
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