月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ジャラールさんは、ラナーの腕を掴んだまま、持っていたカップを奪い、近くにあった魚の水槽に入れた。

魚は変わらずに泳いでいたが、しばらくして小指の半分程の小さな魚は、水面に横たわりながら浮いてきた。

「これって……」

「死んでいるんだ。小魚が死ぬくらいの毒が、飲み物の中に入っている。これを飲んだら、毒に慣れている王族とて、体を病むだろう。」


私は目の前が、クルクル回りだした。

「ラナー、もしかして……あの時……」

「見ていたのですね。」

ラナーは落ち着いている。

反って私の方が、立っていられずに、そのまま座り込んでしまった。


「誰か!!」

ジャラールさんが叫ぶと、護衛の人達が中に入って来た。

「どうされました?」

「この者を地下牢に連れて行け!!」

「……ネシャート王女の侍女をですか?」

護衛達は、後ずさりをする。

「ネシャート王女への反逆だ。私が責任を持つ。連れて行け!」
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