月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
教わらなくても分かる。

この人以外に"王女"と呼べる人が、他にいるんだろうか。

高貴で端正な顔立ち。

体からは光が射しているように見えて、どんな人でも受け入れてくれそうな柔らかい表情。

高価な宝石にも負けない美しさ。

私は今までこれ程に綺麗な人に、出会った事がない。


この人が、ネシャート王女。

私の目からは、勝手に涙が流れていた。

「クレハ?」

ジャラールさんが、私の顔を覗きこむ。

「ごめんなさい。泣いちゃって。なんだかネシャートさんに会ったら泣けてきて……」

涙を拭くと、知らず知らずのうちに、気持ちが溢れだしてきた。

「ずっと、ジャラールさんからもハーキムさんからも、ネシャートさんの話を聞いていたの。」


この国の次の女王様。

とても美しい人。

ジャラールさんの血の繋がらない妹。

そして……

ジャラールさんが愛している人。


「うっうっ……」

思い出したら、また泣けてきた。
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