月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「ではラナー以外の犯人が分かるまで、病気になると知りながら、出されたモノを飲み続けていたのか?」

「ええ。」

するとジャラールさんは、私がいると言うのに、目の前でネシャートさんを抱き締めた。

その抱き締め方が、また優しくて、見ているこっちが恥ずかしくなる。

「もっと自分を大事にしてくれ。」

「すみません。でも我々は、幼い頃から少量の毒を口にしているのですから、これくらいは平気……」

「そうであっても‼」

ジャラールさんの抱き締める力が、強くなった。

「あなたを失ったら、私はどうやって生きていけばよいのか。」

「ジャラール……」


胸が痛い。

でも目が離せない。

今までジャラールさんの恋人達は、こんな想いを抱きながら、側にいたんだろうか。


ジャラールさんは、自分を大切に扱ってくれる。

けれど、それは決して一番ではない事を、想い知らされる。
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