月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ときわの思惑が何なのか分からないうちに、私達は支度をして、外に出た。

もう既にバスが来ていて、みんな乗り始めている。

「急ごう、紅葉。」

「うん。」

ときわと一緒に乗ると、彼女の取り巻き、いや、一部の男性が、席を用意してくれていた。

「ラッキー!有り難う。」

ときわと一緒に座ろうとすると、席が空いていない。

さすがに、私の分はないって事か。


「紅葉。こっちこっち。」

後ろの方から光清の声がした。

隣を指差す光清に、近づいて行く。

途中、クラスの女の子に、じろっと睨まれた気がするけれど、今は気にしない。

だって光清の隣しか、席は空いていないんだから。


「Thank You、光清。」

「いや。」

ご丁寧に、窓際の席を用意してくれていた。

「そうだ、光清。」

「なに?」

「私がいつ起きてもいいように、一晩中起きててくれたんだって?」
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