替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




それからも、私はシェザーの話をしに行ったり、夕食に誘われたりして、ルーサーの一族と少しずつ懇意になっていった。



ガザン王の話も聞いた。
なぜ、ガザン王がアーリアの命に背いたかという話だ。
ルーサーの想い人の話も聞いた。



「もちろん、アーリアの神託を聞いた時はとてもショックだった。
リーナとは幼い時からの付き合いで、自然と、将来結婚するのはリーナだと考えていた。
現に、私は近々、リーナと結婚するつもりだったのだから。」

やはり噂通りだった。
ルーサーには愛する人がいたのだ。



「シャルア王女と結婚されるのはやはりあなたなのですか?」

「まだ決まってはいない。
だが、マーカスにも心に決めた人がいるのだ。
私は長兄でもあるし、ここはやはり、私が結婚するしかないように思っている。
だが……」

「どうかされたのですか?」

「陛下は、その選択を魔法使いに委ねられた。
だが、まだその結果は出ておらぬのだ。」



魔法使いの神託によって、事を決めるということはそう珍しいことではないが、まさか、サキの結婚がそんなことで決められていようとは、意外だった。
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