大天使に聖なる口づけを
第3章 煌めきの王子と王宮勤め

「これからいったいどうしたらいいのかしら?」
エミリアの部屋の寝台に腰かけたフィオナは、ほうっと大きなため息を吐いた。

「エミリアには悪いけど、時間もないことだし、すぐに動き始めた方ほうがいいと思うのよ」
隣に座るエミリアに言い含めるかのように、一言一言呟く。

その見解にはまったく同意だったので、エミリアも黙ったまま頷いた。

「でも正直お手上げね。私の知る限りエミリアにあの近衛騎士以外に好きな人はいないわ。そうでしょ?」
単刀直入な言い草にエミリアは頬を染めながらも、またもコックリと頷いた。

母に頼まれた『ミカエル捜し』も、もう五日目。
いよいよこれからか、というところで、たった一人の候補者だったランドルフが違うとわかり、捜索は今、完全に暗礁に乗り上げた状態だった。

窓際に置かれた椅子に腰かけていたアウレディオが、エミリアに胡乱な視線を向ける。
「なあ……その人物をお前が好きになるっていうのは、本当に信憑性がある話なのか?」

そのことに関しては実際エミリア自身もおおいに疑問を持ち、何度も何度も母に確認したので、ため息まじりに大きく頷いた。
「お母さん曰く、『ぜっったいに、エミリアが好きになる人!』なんだって……」

「それじゃ、全く手がかりなしじゃない」
つんと顔を逸らしたフィオナに続いて、何気なくエミリアの机に目を向けたアウレディオは、ふと首を傾げた。
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