あの夏に見たあの町で


その後もフランス語で会話が続き、気付いたことがある



専務も仕事が相当好きらしい



今まで行った現場や地域のこと、面白かったイベントの話など楽しそうに話してくれる





コース料理も最後のデザートとコーヒーが出てきた




“ここまでで改善点は?”



ランチの締めにここへ来た目的を果たす




“要領が悪いと言うか...気が利かないというところですかね”




専務と話しながら、ホールで動くスタッフを観察していたが、残念ながらどのスタッフも目の前の仕事しかしていない




“具体的には?”



“サーブした後に他の席のバッシングをせずに手ぶらで戻っていったり、頼まないとドリンクのおかわりが来ないとか...”



随分前に空になったドリンクのグラスを見る


入っていた氷は融けてグラスの底には水が溜まっている




“あとは個々のお客様に合わせた対応、例えばあそこの窓際のお客様”


と目線で、ついさっき入ってきた若いご夫婦を示すと専務もそちらに目を向ける



“明らかに妊婦さんなのに、クッションや膝掛けもない”



聞いてご本人が遠慮されたとしても、空いている椅子に置いておけば、必要だと感じた時にいつでも使ってもらえる



それに館内は空調が効いていて、結構冷える


妊婦さんに限らず、体を冷やしたくない女性は多いものだ





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