あの夏に見たあの町で


この2人は何故こんなに食べて飲んでしているのに、余分な肉がついていないのか...




呆気に取られ、張本さんと目を見合わす




「それで、張本と新は友人だったの?」



突如出てきた新の名に私の心臓は一瞬跳ねた




「そうなんです。大学で知り合ったんですけど、専務とそっくり過ぎて、資料室にお化けが出たかと思いました」



ケラケラと笑う張本さんの隣で有沢さんが肩を震わし笑いを堪えていた





「それから?もっと聞かせて」




グラスを見詰め、懐かしそうに笑う専務を見て胸の奥の方がキュウっと締め付けられた






そっか




新が亡くなって寂しいのは私だけじゃないんだ



専務もたった一人の兄をなくし



張本さんだって友人のひとりをなくしたんだ





新の姿はもうないけれど




こうして私達の中で新は生きてるんだ








新の大学時代と社会人になってから、そして私と出会ってからの話もした




4人で焼酎を飲みながら、寂しくて、懐かしくて、ちょっぴり嬉しく感じるひと時を過ごす









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