幼なじみとナイショの恋。
置き手紙だってあったし……。
お母さんは、冷たい表情で私…それからはるくんを見て、また私へと視線を戻した。
どうしよう……。
見られてしまったかも。
私がはるくんと仲良くしている姿を────。
動揺する私の後ろで、エレベーターが音もなく閉まるのが分かった。
「忘れ物をして、取りに戻ったの」
「そ、そっか……」
背中を冷たい汗が伝う。
「ずいぶん楽しそうに話していたみたいだけど。どんな話しをしていたのかしら?」
「そ……れは……」
どうしよう。
上手な言い訳が、思いつかない。
ぎゅっと手を握りしめたその時、隣にいたはるくんが動いた。
お母さんの冷ややかな視線が、私から彼に移る。
「安心してください。ただ、挨拶してただけなんで。関わりたくない人にだって、顔を合わせたら挨拶くらいするのは常識でしょ?」
そう言ってはるくんは、さっきまで笑い合っていたのが嘘のような冷ややかな表情でお母さんを見下ろすと、
私をおいて、先にエントランスを出て行ってしまった。
「相変わらず、性格の悪い子ね」
お母さんはそう言って眉間にしわを寄せる。