幼なじみとナイショの恋。
ペロリ、とその指を舐めるはるくんは、きっと私の気持ちなんて1ミリも気づいてないんだろう。
こうやって、はるくんの一挙一動に、私がどれだけドキドキさせられているかなんて……。
「結衣こそ寝坊しただろ。鏡見る暇もなかった?」
ふっと口元を緩めるはるくん。
「ち、違うもん!これはわざとつけてたの!」
「はっ。何それ、どんな言い訳だよ」
「はるくんだって、昔からいっつも同じ場所に寝癖ついてるんだからね!」
「これは、わざとつけてんの」
「それ私と同じ言い訳だよ!?」
私は、彼とこんな風にいられるこの時間が好き。
彼の隣が好き。
10年たっても変わらない、はるくんのこの笑顔が大好き。
私は、彼に出逢った10年前のその日から、
ずっとずっと彼に恋をしている。
誰にも言えない、秘密の恋を────。
エレベーターが一階に到着する。
「ほら。降りるぞ」と言ってコツンと私の頭を小突くはるくんに、ぶぅっと頬を膨らませていると、エレベーターの扉が開いた。
「結衣?」
そこに現れた光景に、心臓がドクンと嫌な音を立てる。
「お母さん……」
何で?何でお母さんがここにいるの?
私より先に家を出て、確かに仕事に行ったはず。