幼なじみとナイショの恋。



もうずっと前から、


私はお母さんを……裏切っている。














はるくんと出逢ったのは、このマンションに引っ越してきたばかりの頃。


小学校の入学式の数日前。


マンションの下にはなかなかに立派な公園があって、公園の周りを囲うように植えられた桜の木が、淡いピンク色の花を盛大に咲かせていた。



『わぁ!綺麗ー!!』



風が吹くたびひらり舞うそれをキャッチすると一つ願い事が叶う……なんて、勝手に自分で考えた作り話で願掛け遊びをしていた。



『えいっ!あー!何で逃げちゃうの!?これじゃ願いごとなんて叶わないよ!』



何度手を伸ばしても、一向に掴まえることが出来ないそれに、地団駄を踏んでヤキモキしていたら。



『そんなんで、願いごとが叶うわけないじゃん』



背後からそんな言葉が飛んできて、なんだとー!?という気持ちで振り返った。


だけどそこには、何を怒っていたのかすら忘れてしまうほどの美少年が立っていた。


彼が桜を引き立てているのか、桜が彼を引き立てているのか、もはやどちらか分からないほどの絶世の美少年。


なぜだか分からないけど心臓が急に高鳴り出して、思わず胸を押さえ首を傾げてしまう。



私が恋に落ちたのは、間違いなくこの時だと思う。
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