幼なじみとナイショの恋。
もうずっと前から、
私はお母さんを……裏切っている。
*
はるくんと出逢ったのは、このマンションに引っ越してきたばかりの頃。
小学校の入学式の数日前。
マンションの下にはなかなかに立派な公園があって、公園の周りを囲うように植えられた桜の木が、淡いピンク色の花を盛大に咲かせていた。
『わぁ!綺麗ー!!』
風が吹くたびひらり舞うそれをキャッチすると一つ願い事が叶う……なんて、勝手に自分で考えた作り話で願掛け遊びをしていた。
『えいっ!あー!何で逃げちゃうの!?これじゃ願いごとなんて叶わないよ!』
何度手を伸ばしても、一向に掴まえることが出来ないそれに、地団駄を踏んでヤキモキしていたら。
『そんなんで、願いごとが叶うわけないじゃん』
背後からそんな言葉が飛んできて、なんだとー!?という気持ちで振り返った。
だけどそこには、何を怒っていたのかすら忘れてしまうほどの美少年が立っていた。
彼が桜を引き立てているのか、桜が彼を引き立てているのか、もはやどちらか分からないほどの絶世の美少年。
なぜだか分からないけど心臓が急に高鳴り出して、思わず胸を押さえ首を傾げてしまう。
私が恋に落ちたのは、間違いなくこの時だと思う。