幼なじみとナイショの恋。

すると、何かに気がついたお母さんが、ベッド脇にある勉強机に近づき、手を伸ばす。


お母さんが手を伸ばしたその先には、小学校一年生の頃の私とはるくんの写真があった。



「……っ!」



それを手に取り、憎悪にも似た表情を浮かべるお母さんに、咄嗟に体が動く。



「こんなもの飾って……っ」


「ダメッ……!!!」



────ガシャン。



私が止めるも間に合わず、乱暴にゴミ箱に投げ捨てられた写真立て。


呆然と立ち尽くす私を残して、お母さんは部屋を出ていった。



「なんで……」



膝から崩れ落ちるようにゴミ箱の前に座り込み、震える手でそれを拾い上げる。


写真立てのガラス部分がひび割れ、無邪気に笑う幼い私とぶっきらぼうにピースサインをするはるくんとの間に亀裂ができてしまっていた。



「なんで……?」



無意識に涙が溢れ出し、写真立ての上にポタポタと染みを作っていく。



何でこんなことにならなくちゃいけないんだろう?


私はただ、はるくんの側にいたかっただけなのに……。




はるくんの声が聞きたい。



溶けそうに笑う、あの優しい笑顔が見たい。



ふんわり香る石鹸の香りも。


ちょっとだるそうな歩き方も。


機嫌が悪いと腕を組む癖も。


私の顔を覗き込む仕草も。



こんなの一生、忘れられるはずがないじゃないか……。
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