幼なじみとナイショの恋。

着いたのは、複数の洋服店が立ち並ぶ、とあるビルのファッションフロア。


そこには私が着たこともないような、オシャレで可愛い洋服がたくさんディスプレイされていた。


その中でショッピングを楽しむ女の子達もみんなオシャレで。


自分のみそぼらしさが途端に恥ずかしくなってくる。



せめてもう少しマシな服を着てくるんだった……。


と言っても、しばらく新しい服なんて買っていないし、自信をもってオシャレと言える服なんて一着も持ってはいないのだけど。



しかし、なんで洋服店なんかに……?



古賀さんは、颯爽と店内に入っていくと、オロオロとしている私のことなど気にも止めずに洋服を物色し始めた。


そして、数分後。


戻ってきた古賀さんは、なぜか沢山の服を抱えていた。



「これ着せて」


「へ……?」


井田さんに抱えてた服を押し付ける古賀さん。



着せて……?


着せるって誰に?



「了解しました!」と言ってそれを受けとった井田さんは、私の手首をひっぱりどこかへと先導していく。


そうして連れてこられたのは、店の奥にある試着室。


井田さんは、入るのを躊躇する私をなわば無理矢理そこに押し込めると、さっき古賀さんが選んだ服を手渡してきた。
< 230 / 341 >

この作品をシェア

pagetop