幼なじみとナイショの恋。

これ以上、古賀さんの心に立ち入っていいものなのか躊躇してしまう。



話を変えるべきかな……。



だけど古賀さんは、そんな私の心配に反して、言葉を続けた。



「前に、あんたに話したことあったでしょ?あんたと昔の私が似てるって」


「……うん」



学年合同レクレーションの日、古賀さんと遭難した時に言われた言葉だ。


古賀さんと私なんて、見た目も中身も全く正反対だから、あの時は似ていたと言われてもいまいちピンとこなくて。


だからか、鮮明に記憶に残っている。



「あれマジなんだ。中学までの私は、自信なんてもんが皆無だった。内気で、卑屈で、心が弱くて、そんな自分を見られるのが怖くて、いつも人と距離を置いてた」


「古賀さんが……?」


「いや。自分がどうしようもないやつだって気づいていない分、今のあんたよりタチが悪かったかもね」


そう言って古賀さんは苦笑する。



信じられない。


古賀さんにそんな過去があったなんて。


古賀さんの言葉や行動は、誰に何を言われようが絶対にぶれることがなく、いつだって揺るぎない自信が感じられた。


そんな古賀さんが、内気?卑屈?心が弱い?


そんなの、1ミリも想像が出来ないよ……。



だけど、古賀さんはこんな嘘をついたりしない。


つまりこれは、紛れもない事実。
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