幼なじみとナイショの恋。

そんなはるくんを呼び止める勇気なんて、私にはもうなくて、ただその場に佇むことしかできない。



もう……遅かったのかもしれない。


きっとはるくんは、もうとっくに切り替えてしまっているんだ。


はるくんが側にいないことが苦しくて、立ち止まったまま動き出せないでいる私とは違い、私が隣にいない未来をはるくんは着々と進んでいっている。


はるくんは強い人だから、私なんかが一人いなくなったところで、きっと大した問題じゃないのだろう。




……ダメだね。


こんな、今さらはるくんの優しさが恋しいだなんて、勝手にもほどがあるよね。


突き放したのは私なのにね。



───“何があっても、俺が結衣を離さないから”



そう言ってくれた、はるくんの温もりが恋しい。


私を見る、優しい瞳が恋しい。




古賀さんと厚木くんが心配そうに見守る中、私はその場に立ち尽くし、地面を見つめたまま動くことができなかった。
















あれから、二週間が経とうとしていた。


8月も下旬に突入して、夏休みも残すところあと僅か。


海に、プールに、お祭りに。学生達が夏休みのラストスパートを謳歌する中、私はお母さんとの約束通り、予備校に家庭教師にと忙しい毎日を送っていた。
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