幼なじみとナイショの恋。
一方、八木に見つめられている俺は、八木の言葉に対する返答が出てこなくて、口を開いたにも関わらず、またすぐに閉じるはめになった。
もしも、この先結衣が俺以外の誰かを想う日が来るのなら、他の変な馬の骨よりも、八木のが安心だ。
八木の人間性の高さはよく知ってる。
顔良し、頭良し、性格良し。
結衣の相手としては、100人中100人が見ても、みんな口を揃えて申し分ないと言うだろう。
結衣を諦めるのなら、俺はここで承諾するのが正解なはず。
なのに何で……“いいよ”のその一言が、出てこないんだ。
冷や汗が、こめかみから滑り落ちる。
すると、黙ったままの俺を見つめていた八木の表情が一変、ふっと息を漏らして和らいだ。
「冗談だよ」
「やややや八木くん!優しい顔してブラックジョークがきつい!!」
「あはは!ごめんね。まぁ、でも、これでよくわかったよね」
「え?」
「尾上が蒔田さんを諦めるなんて、絶対無理ってこと」
説得力のある笑みを向けられ、返す言葉を失う俺。
手元のアイスコーヒーへと視線を落とすと、八木の言葉がさらに追い打ちをけてくる。
「そんな簡単な想いじゃないことくらい、本当は尾上が一番わかってるんだろ?」
「……」
けど、それじゃダメなんだ。