幼なじみとナイショの恋。
そんなので結衣を諦められるんなら、今すぐにでもしたいくらいだ。
結衣以外の人を好きになれたら、どれだけ楽になれるだろう?
そうなれたら、結衣への想いも消えてなくなるのだろうか。
ファミレスからの帰り道は、バスで帰る八木と翔吾と別れ、先輩と二人になった。
駅までの道のりを、先輩と肩を並べて歩く。
結衣以外の女子と歩くことなんて普段ほとんどないからか、何となく居心地が悪い。
「はるって、意外に歩くのが遅いよね」
「……そうですか?」
「うん。まるで、誰かの歩調に合わせ慣れてるみたい」
「……」
“誰か”なんて、そんなの結衣しかいない。
結衣は昔から歩くのが異常に遅いから、俺は自分でも気づかないうちに、結衣の歩調に合わせる癖がついてしまったんだろう。
先輩はなぜか寂しそうに笑って、「ねぇ」と言葉を続けた。
「はるが失恋した子ってさ、この前私服で学校に来てた背の小さい子?」
先輩は小首を傾げ、俺の顔を覗き込んでくる。
この間、結衣が突然現れた時、確か先輩も見ていたはず。
となれば、先輩の言う背の小さい子というのは、まさしく結衣のことだ。
黙っている俺を見て、肯定ととったのか先輩は「あの子可愛かったもんね!」と一人納得している。
「最近のはるの不調は、あの子に失恋したのが原因だったのか」