幼なじみとナイショの恋。
「一ノ瀬先輩、ちょっと楽しんでません?」
じゃなきゃ、俺の失恋話とか掘り下げて、一体何がしたいんだかわからない。
「ううん。そうしたいところなんだけど、困ったことに全然楽しくないんだな」
「?」
そう言って足を止めた先輩を俺が振り返ると、先輩が真剣な表情で俺を見つめていた。
ギュッ固く握られている手が、心なしか震えている。
「先輩?」
「さっきのあれ、考えてみてくれないかな」
「あれって……?」
「新しい恋をするってやつ」
───『新しい恋をするってのはどうかな?』
さっき、先輩がファミレスで言っていたことだ。
けど、考えるって何を?
そう疑問に思った刹那、先輩が意を決したように俺に駆け寄ってきて。
────は?
胸に飛びついてきた。
「私、はるの新しい恋の相手になりたい!」
あまりに突然の申し出に、思わず目を見開いたまま固まってしまう。
これはつまり、先輩が俺のことを好きだということで合っているだろうか?
となると、これは告白……?
いや待て。同じ部活内でよく顔を合わせてるってのに、全くそんな素振りなかったぞ?
何かの間違いじゃ……?
そもそも、普段どちらかといえばサバサバしていて、俺達が着替えのためにパンツ一丁になっていたって気にしないような人なのに。