幼なじみとナイショの恋。

「だけど、さっき言われちゃったわ」


「……?」


「俺の幸せを勝手に決めないでくれって」



目を丸くする私に諦めを含んだ笑みを浮かべるはるくんのお母さん。



「いつか、たとえ普通の恋愛ができる人と恋愛をすることになったとしても、俺にとってそれは幸せな恋愛なんかじゃない」



はるくん……。



「結衣じゃなきゃ、幸せになんかなれないって」



「……っ」



鼻の奥がつんと痛んで、下まぶたに涙が溜まっていく。


歪む視界の奥で、はるくんのお母さんが優しく微笑んでいるのがわかった。



「悠斗は、昔から欲のない子だったの。その部分の感情だけが欠落して産まれてきてしまったんじゃないかと心配するくらい。だから、あんなに何かを欲しがるあの子を見たのは初めてでね。ちょっと嬉しくなっちゃった」



ポロポロと溢れてくる涙。


こんなふうに胸の奥が温かく感じたのは初めてだ。


これほどまでに誰かを愛しいと思うのも。



はるくんは私に、たくさんの幸せな気持ちをくれるね。


私もはるくんが言うように、はるくんに幸せを与えられたらいいな。


はるくんを誰よりも幸せにしたいよ。



「だけど、結衣ちゃんは本当に悠斗でいいの?他の人なら、お母さんとぶつからずに普通の恋愛ができる。わざわざ苦しい恋愛を選ぶ必要なんてないんだよ?」



真っ直ぐに私を見つめてくる瞳。
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