幼なじみとナイショの恋。

それなのに、心の奥底に隠していた醜い気持ちを、ぶつけてしまった。


それも、一番知られたくない相手に。



そうか。


だからお母さんは……。



「はるくんのお母さんは、お母さんにとって消したい過去そのものだったんですね」



だから、時がたった今でも、はるくんのお母さんを拒絶し続けている。


そして、恐らく……。



「お母さんは、私が自分のようになることを恐れている……」



ストンと胸の中に何かが収まった気がした。


お母さんが、私からはるくんを遠ざけていた理由。



私と昔のお母さんは、驚くほどよく似ていた。


人と自分を比べてしまうところも。


自分のことが大嫌いなところも。


はるくんのお母さん───夏葉さんに似ているはるくんと、お母さんに似ている私とでは、自分と同じことになりかねない。


だから、あんなに必死に私達を引き離そうとした。



「本当のところは、遥にしかわからないけれど、結衣ちゃんの言う通りかもしれないね」



はるくんのお母さんは、箸置きの上に箸を置くと、目を閉じふーと溜息をついた。



「私は、嬉しかったんたけどね。10年前、夏葉と再開した時、大好きだった幼なじみと会えて、遥とばかり一緒にいた子供の頃のように心が躍った。だけど、夏葉にとって私は消し去りたかった過去。本当は、思い出したくもなかったんだろうな」
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