幼なじみとナイショの恋。
服が乾くまでまだかかりそうなので、はるくんと二人食べ終わった食器を洗いながら、はるくんのお母さんの帰りを待つことにした。
私が洗って流した食器を、はるくんが黙々と拭いていく。
「あのさ……」
その声に「ん?」とはるくんの方を見れば、はるくんは真剣な面持ちで拭いているお皿に目を落としていた。
「結衣も、10年間ずっと辛かった?」
「え?」
「おばさんが俺の母さんと一緒にいて辛かったみたいに、結衣も辛かったのかなって……」
……あぁ。そうか。
前にはるくんから離れなきゃと思った時、私ははるくんに酷いことを言ってしまった。
───『はるくんと一緒にいると、辛いの』
もしかしたらはるくんは、前に私に言われたことと、お母さんの話をだぶらせているのかもしれない。
「私なんかが、はるくんの側にいたらいけない……とかは、考えたりしたかな。劣等感で苦しくなったこともある」
「……そっか」
「でも、不思議と辛くはなかったよ」
「え?」
「だって、そうなった時はいつだって、はるくんが側にいて励ましてくれた。“ここにいていいんだよ”って言うみたいに、いつだって私を受け入れた」
はるくんは、お皿を拭く手を止めて驚くように目を見張る。
「お母さんは、ああやってはるくんのお母さんに言ってしまったけど……」