いつか、眠るまで
「あぁ、それは……」
私は、真っ白な天井を目に映した。
「ほら、見てみてよ。」
私の言葉と共に、楠木くんが顔ごと上に向ける。
病室で二人、天井を見ているという光景はなかなか奇妙なものだと思うけど、今はそんなのどうだっていい。
「すごい綺麗でしょ、この天井。これがね、まるで私の心を見てるみたいな気持ちになるの。」
「どういうこと?」
「私の心って、本当にあるのかなってたまに思うんだ。もしかしたら、この天井みたいに真っ白で、何もない ただの形だけのものなのかな って思うの。」
「そんなことないよ!」
楠木くんがその場で勢いよく立ち上がった。