イジワル専務の極上な愛し方
そこには、大手広告代理店も関わっていて、大きなプロジェクトになる予定。海外発信をするものもあり、その規模は大きなもの。

もちろん、成功するかどうかは、やってみないと分からない部分もあるけれど、翔太さんや久遠寺副社長なら、絶対に成功すると思っている。

その契約を今から取り交わすというのだから、こちらまで緊張してしまっていた。

祐一さんからは、まったく連絡がないままで、彼の現状はなにも分からない。知りたいとも思わないから、翔太さんとは彼の話題すらもう出ていなかった。

今は、ただ久遠寺グループとの仕事が、うまくいったらいいと願うだけ。もちろん、利益も多大なものになるし、上層部もかなり期待していると聞いている。

いつの間にか、これだけ仕事を進めていた翔太さんが、とても頼もしくて尊敬する。やっぱり、とても有能な専務……。

自分の業務に戻りながらも、翔太さんたちが気になって、落ち着かなかった──。


「それでは久遠寺副社長、これからもよろしくお願いいたします」

無事に契約が終わり、久遠寺副社長をエレベーターまでお見送りをする。

とても気さくな副社長は、私にも愛想のいい笑みを見せてくれた。

「こちらこそ。お互いにとって、利益の多い仕事にしましょう」

副社長はそう言い残し、エレベーターに乗り込む。ドアが閉まるその瞬間まで、私たちは頭を深々と下げていた。

よかった。これで、大きな仕事が一つたしかなものになったんだ。私まで、胸が熱くなってくる。

「本当に、お疲れさまでした」

翔太さんと戻りながら、彼にそう声をかける。すると、翔太さんは秘書室へ入ったとたん、私を抱きしめた。

「しょ、翔太さん!?」

突然のことに、驚きとときめきが入り混じる。すると、彼の低い声が耳元で聞こえてきた。

「久遠寺副社長に、見惚れてなかった?」

「ま、まさか。そんなわけ、ないじゃないですか」

「そうかな? お茶を出してたときも、彼を意識してたじゃないか」

そう言いながら、翔太さんは耳にキスを落とす。業務中なのにと思いながらも、心は素直に反応していた。
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