イジワル専務の極上な愛し方
「それでは、会議中にかかってきたお電話については、のちほど折り返しでよろしいですか?」

「ああ、それでいいよ。たぶん、五時くらいには終わるだろうから」

タブレットを持った専務は、ジャケットを羽織ると時間を確認していた。

オフィス内にいるときは、専務はたいていスーツのジャケットを脱いで仕事をしている。

部屋を出るときや、来客があるときは、ジャケットを着るのだけれど、その着るときの仕草が妙に色っぽい。

軽やかに、さっと腕を通していて、つい惚れ惚れしてしまいそうになる。専務の派手そうな女性関係さえなければ、私も一ファンにはなっていたかもしれない。

「ねえ、田辺さん。本当に食事に行かない?」

秘書室から専務をお見送りしようと立っていると、そんなことを耳元で囁かれた。

会議に行く前にも、まだそんなことを言うなんて呆れてしまう。

ここは無表情で答えておこう……。

「ご遠慮します。そろそろ、お時間ですよ?」

すると、専務は数秒、なにか考えるように私を見た。

「田辺さんって、結構芯が通ってるんだろうな。まあ、いいや。じゃあ、行ってくる」
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