クール彼氏とツンデレ彼女
「……ふーん」
楓真は店内を見ながら、だけど興味なさそうに言った。
「紗知の大人っぽい恰好とか見てみたいけどな」
怖い怖い怖い。
獲物を見つけたライオンみたいな目で見てこないで。
「ほ、本人が似合わないって言ってんのに」
「俺は似合うと思うけど」
「……笑わない?」
「多分」
多分ってなんだよ、多分って。
似合うって言ったのは適当ですか。
でも、本当に大人っぽい服が似合わないから、選んだことないし、選び方もわからないんだよなあ……
そんなことを思いながら、重い足取りで店内に入る。
「紗知?珍しいね」
適当に服を見ていたら、もう何着か服を持ったお姉ちゃんに見つかった。
須藤君が後から来る。
「暇、だったから……」
すると、お姉ちゃんはおもちゃを見つけた子供みたいに目を輝かせた。
「着せ替え人形、していい?」
そう言いながら須藤君に持っていた服を渡した。
私の答えを聞くよりも先に行動するなら、確認しないでほしい。
どうせ、嫌だって言ってもするんだろうし。
そしてお姉ちゃんは私に似合いそうな服を探し始めた。