クール彼氏とツンデレ彼女
「これと、これ。あとは……あ、これも」
特に迷う様子もなく、お姉ちゃんの左腕に私に着せるための服がかけられていく。
「よし、これくらいかな。紗知、いってらっしゃい」
そしてそれらの服とともに、試着室に押し込まれた。
黒のニットと、チェックのタイトスカート、おまけとして小さなリングがついたシルバーのネックレス。
とりあえず着てはみたけど……
「着たー?」
お姉ちゃんは聞きながら、カーテンから顔を覗かせた。
さすがに返事してないのに覗くのはどうかと思う。
「うん、いい感じだね」
全身を確認して、お姉ちゃんはカーテンを開けた。
須藤君だけでなく、楓真も立っている。
私は恥ずかしくてカーテンを閉めようとするけど、お姉ちゃんの力に負けてしまう。
「似合ってるんだから、逃げないの」
「いやいやいや、嘘はいいから。楓真とか固まってるじゃん。服に負けてるんだって」
必死にお姉ちゃんの力に対抗するけど、まったく閉まらない。
すると、カーテンを掴む私の手に、楓真が触れた。
その瞬間、手に入れていた力は一気に抜け、カーテンが全開になってしまった。