ヒロインの条件

翌日、言われた通り、お兄ちゃんのマンションを訪ねていった。お兄ちゃんはいわゆるエリートで、腹立たしいほどにいろいろを持ってる。

目黒の高級マンションに一人暮らしだ。難関の中高一貫校から東大へストレート合格し、今は企業専門の弁護士をしているらしい。

真っ白なマンションの15階を尋ねると、「はい」とお兄ちゃんがドアを開けた。

「久しぶり」
「入って」
私はマンションに足を踏み入れた。

お兄ちゃんはグレーのストライプのTシャツと黒いデニムを着ていた。妹ながら「これはモテるだろうな」と思うようなスタイルだ。

高校時代からとにかく女性関係がひどく、脇で見ていて不快感満載だったのをよく覚えている。お兄ちゃんは、ちゃんと改心したんだろうか。

2LDKの広い部屋だ。窓からは少し薄雲のかかる空が見える。冷房でよく冷えたリビングの、真っ白なソファにちょんと座ると、私は待ちきれず「お兄ちゃん、写真見せて!」と叫んだ。

「落ち着けって。見せるから」
お兄ちゃんは私の隣に座り、膝の上にパソコンを広げてパスワードを打った。

「お前も覚えてるんじゃない? いっとき始終家にいたけど。親が離婚するとかなんかで、いづらいからってうちに入り浸ってた」
「えー? そうだっけ?」

確かにお兄ちゃんの友達が数人、いつも家に居るっていう時期があった。でもそれは流動的で、代わる代わる誰かがいるって感じだったと記憶してるけど。
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