隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
わざと彼女を焚きつけるように声を掛ければ、一瞬だけ驚いたものの動揺することもなく冷静に対処してのけた。
圭に対してなんとも思っていないようにも取れたが、これ以上事を荒立てないようにという圭への配慮。
圭の為に必死にロビーで頭を下げる彼女に、圭への愛情の深さを感じた。
圭がいうには嫌われてはいないだろうが、自分と同じような感情を彼女は自分に対して抱いていないと言っていたがそんな風には思えなかった。
その真意を確かめるべく、彼女を待ち伏せするとロビーでは決して見せなかった動揺した表情に揺れる瞳。
話せば話すほど彼女の心の綺麗さに胸が痛んで、ついカミングアウトしてしまうほどだ。
あからさまにホッとした表情を見せる彼女に、確信した。
彼女が圭の事を本気で想っているという事を。