隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜


前髪の隙間から見えた彼の唇からは血が流れていて、目に色はない。

そんな姿の彼を見ても恐怖よりも先に私が噛み付いたであろう唇の血のほうに意識がいって咄嗟に駆け寄りハンカチを彼の口元に当てた。




「っ、、、!」

一瞬、肩が揺れた彼だったがそのままうずくまったまま呼吸を整えている。

その姿はまるで美しすぎる猛獣のようだった。



そして彼の頬に涙が一筋溢れた。











「今まで自分を偽ってたのはこんな醜い自分を晶帆にだけは知られたくなかったからだ。直ぐに帰ってたのも、家に上げなかったのも暴走しないようにする為だった。本来、出世に興味なんかない。でも晶帆との未来を考えたら出世は必要だと思った。だから受けた海外出張だった。出張を教えれば、連絡を取れば会いたくなる自分を抑えられないと思ったんだ。これからはちゃんと言うからっ、、!だから俺のこと、好きじゃなくてもいい。本来の自分を曝け出して、そんな俺を晶帆に好きになってもらうように頑張るからっ、、!だからっ、、!!」



両肩を掴まれ、真っ直ぐな瞳でこちらを見つめてくる彼の両目からは次々と涙が溢れていく。

初めて見た彼の必死な姿を見て、彼の言葉を疑う余地がなかった。



胸は呼吸が出来なくなるほど締め付けられて、自然と涙が溢れていく。


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